ごみとして回収され、圧縮されたペットボトルです。
この多くが容器や衣類などに再生されていますが、今「ボトルtoボトル」という取り組みが北海道東部エリアで広がってきています。
手付かずの自然が残る湿原にタンチョウなどの貴重な野生動物。
湖に生息しているのは特別天然記念物のマリモです。
釧路湿原と阿寒湖。
この2つの国立公園を抱える北海道釧路市が環境を守ろうと取り組んでいるのが、ペットボトルのリサイクルです。
田中 うた乃記者:「このようにごみステーションにはペットボトル専用の袋が置いてあります。洗ったペットボトルをこの中に入れて回収されていく仕組みです」
札幌市など多くの自治体では、各家庭から資源ごみを「びん・缶・ペットボトル」として回収しますが、釧路市ではペットボトルは単独で専用の袋に入れて回収しています。
回収は週に1回で、釧路市内であわせて2.5トン以上のペットボトルが運ばれてきます。
釧路市 市民環境部 上平 涼さん:「実際に集められたペットボトルは職員の手によって混ざっているゴミやキャップなどを取り外しております」
ペットボトルは専用の機械で圧縮され、週2回、釧路港から船で神奈川県の工場へ。
工場でペットボトルは砕かれ、さらに薬品を加えて、分子レベルまで分解。
不純物を除去して、ペットボトルを新品に再生する「ボトルtoボトル」という取り組みです。
日本国内で年間販売されているペットボトルは約230億本.
このうちまたペットボトルに再生されるのはわずか15%程度です。
残る85%は容器やカーペット、衣類などに再生されていますが、いずれは捨てられ、その多くはリサイクルされていないのが現状です。
釧路市 市民環境部 上平 涼さん:「釧路市として何にリサイクルされているか分からないという状況もありました。広く市民の方にペットボトルがペットボトルにリサイクルされていることを知ってもらうことで、ごみの減量につながっていくのかなというメリットは感じています」
「ボトルtoボトル」の取り組みを知ってもらおうと2月、釧路市の小学校で出前授業が行われました。
JEPLAN 岩崎 靖之さん:「ペットボトルをリサイクルすると、何に生まれ変わるでしょうか」
リサイクルの仕組みを学ぶため用意されたのは、実際のペットボトルを使ったすごろく。
授業には、釧路市周辺の自治体からも担当者が参加していました。
「ボトルtoボトル」のシステムを手掛ける神奈川県の会社「JEPLAN(ジェプラン)」と釧路市が、北海道内で初めて連携協定を結んだのは2022年3月でした。
この取り組みが広がり、3月23日には根室市、浜中町、標茶町、鶴居村の4市町村も協定に調印しました。
これにより北海道東部エリアの5市町村から年間約1100トンのペットボトルが集められ、またペットボトルに再生します。
鶴居村 大石 正行村長:「ペットボトルの再生が身近に進められることが、地域住民にとって暮らしを良い方向に持っていける」
JEPLAN 岩元 美智彦会長:「リサイクルがまわっていくと、CO2はどんどん減っていくし、新しい石油を使うこともない。資源が有効に活用できる社会を目指すべきだと思っています」
地域全体で「ボトルtoボトル」を進めることで、ペットボトル回収の効率アップや住民の意識の高まりが期待されています。